厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査では、若い世代ほど食事の栄養バランスに課題があるということが明らかになりました。
特に20~30歳代の女性では、たんぱく質、カルシウム、食物繊維などの摂取量が60歳以上に比べて少ない傾向にあるようです。
今回はこの結果をもとに、若い女性がどのように食事をしていけば不足しがちな栄養素を補うことができるのか、紹介していきますので、参考にしてみてください。
【20代女性の栄養不足問題が深刻化?!】
いきなりですが、みなさんの食生活は偏りがないですか?
朝・昼・晩ときちんと食事を摂れていますか?
女性の社会進出が当たり前になった近頃、朝忙しくてちゃんと食事を摂れない方や、ダイエットブームで摂取カロリーが極端に低い方など、偏った食生活をおくっている方は少なくありません。
実際にBMIが18.5未満の「低体重(やせ型)」に入る方の割合は20代女性が最も高く、22.3%という結果が出ています。
- 朝は時間がないので食べない
- 昼食はサンドイッチとコーヒーで軽く済ませる
- 小腹が空いたらお菓子を食べる
- 夕食はワインとチーズと野菜でおしまい……
こんな食習慣をしている方は要注意です!
栄養が不足すると、便秘やカラダの冷え、立ちくらみなどの不調につながりかねません。
なんとなくダルい、疲れやすいという方は、一度自分の食事を見直してみましょう。
【不足しがちな栄養素とは一体?】
栄養バランスの整った食事を摂りましょう!とよく聞きますが、実際にどんな栄養素を摂るべきか、なかなか分からないですよね。
今回、日本人の食事摂取基準を参考に日本人女性に不足しがちな栄養素を5つ紹介します。※国民栄養調査結果より算出
一般的に不足しやすい栄養素になるので、栄養バランスを見直す際の基準として参考にしてくださいね。
- ビタミンA
- ビタミンC
- カルシウム
- 鉄分
- ビタミンD
【ビタミンA】
ビタミンAは1日あたり650㎍の摂取が推奨されています。
それに対し、20~30代の女性は66%程度(428㎍)しかとれていないというデータがあります。
〇ビタミンAの働き
- 皮膚や粘膜の健康維持
- 目の健康維持
- 夜盲症の予防
- 細菌やウイルスから身を守る
〇ビタミンAの摂りかた
皮膚や粘膜の健康維持がメインの働きであるため、不足することで病気を発症するといった可能性は低いですが、「皮膚の乾燥」や「薄暗いところで目が見えにくくなる」といった症状が出る可能性があります。
ビタミンAは「肉」「魚」に多く含まれます。動物性たんぱく源から摂るのがおすすめです。
【ビタミンC】
ビタミンCは1日あたり100㎍の摂取が推奨されています。
それに対し、平均摂取量は約64%程度(63.5㎍)といった結果になっています。
〇ビタミンCの働き
- コラーゲンの合成
- 鉄の吸収を助ける
- 免疫力のアップ
- 抗酸化作用と抗ストレス作用
美容の栄養素といったイメージ通りにビタミンCは綺麗なお肌を作るのに大切な栄養素です。
また、美容の面からだけでなく、病気にならないための免疫力のためにも必要な栄養素です。
〇ビタミンCの摂りかた
ビタミンCは体内で作ることができないので、しっかり食事から摂取する必要があります。
ビタミンCは「果物」「色の濃い野菜」にたくさん含まれています。
しかし、ビタミンCは水溶性ビタミンなので、水に溶けやすく、熱に弱いといった特徴があります。
そのため、野菜を多く使った料理を作ったとしても長時間水に浸したり、火にかけているとビタミンCが失われてしまいます。
ビタミンCをしっかり無駄なく摂るためには、生で食べたり、スープにして食べることをおすすめします。
【カルシウム】
カルシウムは目標摂取量650mgに対して、63%程度(407mg)が平均摂取量と言われています。
カルシウムは男性よりも女性に必要な栄養素です。
〇カルシウムの働き
女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は、骨からカルシウムが溶け出すのを防いだり、カルシウムの骨への吸収率を高める役割を持っています。
しかし、閉経を期にエストロゲンは分泌量が急激に減少します。
骨密度が著しく下がる骨粗しょう症は閉経後の女性に多く見られます。
閉経は50代半ばに起こりやすく先のことだと捉えがちですが、若いうちからしっかりカルシウムを摂取して閉経後の骨粗しょう症のリスクに備えましょう!
〇カルシウムの摂りかた
カルシウムは「乳製品」「小魚」「海藻類」「大豆」に多く含まれています。
古くから言われるカルシウムの摂りかたと言えば、「牛乳」をよく耳にしますよね。
しかし今は「豆乳」を代用し大豆成分を摂取しているという方も多いのではないでしょうか。個々の好みの方でカルシウムを十分に摂りましょう!
【鉄分】
女性にとって毎月の月経から、鉄分の不足を意識されることは少なくないと思います。
そして、実際に日本人女性の多くは目標摂取量10.5mgの60%程度(6.3mg)しか摂れていないといった結果があります。
〇鉄分の働き
鉄をしっかり摂ることで、生理のときの身体面や精神面での不調を和らげるだけでなく、むくみの予防にもつながります。
また、鉄が不足していると、しわやシミといった肌トラブルの原因にもなります。
〇鉄分の摂りかた
「レバー」「赤身肉」「小松菜」「枝豆」に鉄は多く含まれています。
しっかり鉄をとって健康的な生活を送りましょう。
【ビタミンD】
推奨摂取量8.5㎍に対して、平均摂取量が56%程度(4.75㎍)と言われています。
なんと、今回紹介した5つの栄養素でもっとも不足しがちな栄養素です。
〇ビタミンDの働き
- カルシウムとリンの吸収促進
- 骨の形成と成長促進
- 遺伝子の働きを調整(免疫向上・糖尿病予防)
鉄分の時にお話したように、女性は毎月、月経がくるものです。月経が来る前から頭痛や体のだるさなどPMS(月経前症候群)を感じている方も少なくないのではないでしょうか。
ビタミンDにはPMS(月経前症候群)の症状を和らげる働きも期待できます。
PMSにお悩みの場合は特にビタミンDを意識して摂るようにしましょう。
〇ビタミンDの摂りかた
ビタミンDは「魚類」に多く含まれています。
また、ビタミンDは食べ物からだけではなく、日光(紫外線)を浴びることで体内に作り出すことができます。
お肌のために日焼け対策をされることが多いと思いますが、天気の良い日はカーテンを開けたり、少しの時間だけ散歩をするようにしたり、毎日少しは紫外線を浴びるようにしましょう。
日焼け対策を徹底したい場合は、週に2回以上は魚を食べるなど、食事から摂ることを十分に意識してくださいね!
【さいごに】
今回は、女性が不足しがちであり、摂るべき栄養素5選を紹介しました。
- ビタミンA
- ビタミンC
- カルシウム
- 鉄分
- ビタミンD
栄養素はどれか1つだけを摂っていても十分に働かないので、たくさんの食材を組み合わせて、色々な栄養素を摂るようにしましょう。
身体の調子が悪いなと感じるときには、1日の食事を栄養素の面から見直してみましょう。
しかし、必ずしも1日の食事がパーフェクトでなくても大丈夫です。
食事は毎日のことですし、つい自分が好きなものに偏りがちですが、食習慣を改善することは健康や美にもつながります。
この機会に食事を見直して、健康な体作りを目指していきましょう。
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